「この男、武芸などできそうにない」——大乾の比武招親の場に現れたのは、痩せた寒門の書生だった。名は蘇文(スー・ウェン)。だが、彼が競技の場に立ったのは偶然ではない。剣道の頂を極めたこの男は、亡びた家の仇を追い、大乾の闇を暴くために来た。文弱に見えるその体には、誰にも見せていない“もう一つの顔”があった。
異国の使節が朝廷に牙を剥き、権力者たちが陰で蠢く。公主を守るという名目の裏で、蘇文は静かに旧案の真実へと近づいていく。筆で心を鎮め、剣で魔を斬る。やがて彼の正体が明かされる時、朝堂の秩序は音を立てて崩れ去る。女たちの涙、男たちの野望、すべてを背負った書生が、最後に取る選択は——まだ語られていない。