もう一度、おばあちゃんの孫娘に

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もう一度、おばあちゃんの孫娘に

GoodNovel 完結

私、篠原結衣(しのはら ゆい)と弟の篠原翔太(しのはら しょうた)は、パパの篠原健介(しのはら けんすけ)の冷蔵冷凍車の中で遊んでいた。 翔太は私が手に持っていたアイスクリームを強引に奪おうとしたが、私はそれを拒んだ。 彼は私を激しく突き飛ばし、私はバランスを崩して地面に倒れ込んだ。 そのまま気を失ってしまった。 ようやく目を覚まし、冷凍車の荷室で翔太を見つけた時、彼はすでに氷の彫刻のように凍りついていた。 監視カメラには、彼が中で三時間も「ママ、助けて」と泣き叫ぶ姿が映っていた。 ママの篠原綾音(しのはら あやね)は映像を見るなりその場で泣き崩れ、私の髪を掴んで壁に何度も打ち付けた。 「あなた、死んでるの?駐車場の入り口にいたくせに、どうして扉を開けてやらなかったのよ!」 パパは目を真っ赤に血走らせ、私をそのまま中へと放り込んだ。 「翔太は中で寒くて怖かったんだ。お前も中に入って、その苦しみを味わってみろ!」 分厚い扉が容赦なく閉ざされ、暗闇と寒さが瞬く間に私を飲み込んだ。 私は、翔太が息絶えたばかりのその隅っこにうずくまった。歯の根が合わずガチガチと鳴り、意識が次第に遠のいていく。 ごめんなさい、パパ、ママ。私は寒くない。ちっとも寒くないよ。 来世では、もう二度とアイスクリームなんて食べない。

チャプター (1)

第1章

私、篠原結衣(しのはら ゆい)と弟の篠原翔太(しのはら しょうた)は、パパの篠原健介(しのはら けんすけ)の冷蔵冷凍車の中で遊んでいた。 翔太は私が手に持っていたアイスクリームを強引に奪おうとしたが、私はそれを拒んだ。 彼は私を激しく突き飛ばし、私はバランスを崩して地面に倒れ込んだ。 そのまま気を失ってしまった。 ようやく目を覚まし、冷凍車の荷室で翔太を見つけた時、彼はすでに氷の彫刻のように凍りついていた。 監視カメラには、彼が中で三時間も「ママ、助けて」と泣き叫ぶ姿が映っていた。 ママの篠原綾音(しのはら あやね)は映像を見るなりその場で泣き崩れ、私の髪を掴んで壁に何度も打ち付けた。 「あなた、死んでるの?駐車場の入り口にいたくせに、どうして扉を開けてやらなかったのよ!」 パパは目を真っ赤に血走らせ、私をそのまま中へと放り込んだ。 「翔太は中で寒くて怖かったんだ。お前も中に入って、その苦しみを味わってみろ!」 分厚い扉が容赦なく閉ざされ、暗闇と寒さが瞬く間に私を飲み込んだ。 私は、翔太が息絶えたばかりのその隅っこにうずくまった。歯の根が合わずガチガチと鳴り、意識が次第に遠のいていく。 ごめんなさい、パパ、ママ。私は寒くない。ちっとも寒くないよ。 来世では、もう二度とアイスクリームなんて食べない。 第1話 私、篠原結衣(しのはら ゆい)と弟の篠原翔太(しのはら しょうた)は、パパの篠原健介(しのはら けんすけ)の冷蔵冷凍車の中で遊んでいた。 翔太は私が手に持っていたアイスクリームを強引に奪おうとしたが、私はそれを拒んだ。 彼は私を激しく突き飛ばし、私はバランスを崩して地面に倒れ込んだ。 そのまま気を失ってしまった。 ようやく目を覚まし、冷凍車の荷室で翔太を見つけた時、彼はすでに氷の彫刻のように凍りついていた。 監視カメラには、彼が中で三時間も「ママ、助けて」と泣き叫ぶ姿が映っていた。 ママの篠原綾音(しのはら あやね)は映像を見るなりその場で泣き崩れ、私の髪を掴んで壁に何度も打ち付けた。 「あなた、死んでるの?駐車場の入り口にいたくせに、どうして扉を開けてやらなかったのよ!」 パパは目を真っ赤に血走らせ、私をそのまま中へと放り込んだ。 「翔太は中で寒くて怖かったんだ。お前も中に入って、その苦しみを味わってみろ!」 分厚い扉が容赦なく閉ざされ、暗闇と寒さが瞬く間に私を飲み込んだ。 寒い、すごく寒い! マイナス三十度の荷室内で、私の全身が激しく震えていた。 だが、私がいくら叫んでも、パパとママは私を外へ出してくれなかった。 仕方なく私は必死に手をこすり合わせ、狭い空間の中で跳ね回って、なんとか持ちこたえるしかなかった。 けれど、やがて跳ねる力すらも完全に尽き果てた。 氷のように冷たく変わり果てた翔太の姿を見て、ママはその場で泣き崩れた。 彼女は悲痛な叫び声を上げ、ついに元凶である私のことを思い出した。 「あなた、死んでるの?なんで勝手に気を失ったりしたのよ。どうせ芝居でもしてたんでしょ! 私の息子を死なせて、一体何の得があるっていうのよ!」 私は必死に首を振って弁明したが、ママは信じてくれなかった。 パパに助けを求めても、彼は問答無用で私を平手打ちした。 その後、彼はそれだけでは怒りが収まらず、私をそのまま冷凍車の中に放り込んだ。 「翔太は中で寒くて怖かったんだ。お前も中に入って、その苦しみを味わってみろ!」 「パパ、ママ、本当にわざとじゃないの。どうして翔太を殺そうなんて思うの。私も翔太のことが大好きなのに」 私は扉を叩きながら訴えたが、誰も相手にしてくれず、全身の芯まで凍りつくように感じた。 焦燥感と絶望に駆られていると、突然体がふわりと宙に浮き上がった。 体の痛みもすべて消え去った。 私は寒さを感じない超能力でも手に入れたのかと思った。 しかし次の瞬間、私は自分の死体を目の当たりにした。 小さな体で、顔中が血まみれだった。 氷の彫刻のように凍りついた私は、扉を叩く姿勢のまま固まっていた。 命が尽きる最後の一秒まで、私はパパとママに助けを求めていた。 だが誰も見向きもせず、私は孤独に凍死した。 死んでもなお、私はパパとママのことが気がかりで、魂は急いで彼らのもとへ向かった。 ママは翔太の部屋にお菓子を山のように積み上げながら、うわ言のように呟いていた。 「翔太、ママに一生分のお菓子を買ってほしいって言ってたじゃない。どうしてママを置いて、先に逝ってしまったの……」 ママの涙を見て、私の胸も締め付けられるように痛んだ。 翔太はママにとって、まさに命そのものだった。翔太を身ごもるために、ママは数え切れないほどの流産防止の注射を打った。 翔太が生まれた日、ママは近隣の人たちに向かって、自分に息子ができたこと、篠原家に跡取りができたことを得意げに自慢して回った。 パパも翔太の死を深く悲しみ、目を真っ赤に血走らせてタバコを吸っていた。 しかし、彼はやはり一家の大黒柱であり、どんなに悲しくてもママを慰めることを忘れなかった。 「綾音、そんなに自分を責めるな。翔太はもう逝ってしまったんだ。残された俺たちはしっかり生きていかなきゃならない」 そう言うと彼は立ち上がり、キッチンへ行ってママのためにうどんを作った。 しかしママは食べようとせず、涙を流しながら言った。 「今、あの人でなしの結衣以外に、誰がご飯なんて喉を通るっていうのよ」 彼女はそのうどんをじっと見つめ、突然何かを思い出したように、憎々しげに言った。 「ねえ、結衣はわざとやったんじゃないの。どう考えてもおかしいわ。 彼女は気を失っただけで、死んでたわけじゃない。どうして翔太の助けを求める声が聞こえなかったのよ! だめだわ、結衣をきっちり問い詰めてやる」 パパはママを必死に引き止めた。 「俺も結衣のことは好きじゃないが、彼女はまだ子供だ。そこまで悪質じゃないだろう」 「彼女はやるわよ、見くびらないで。すごく悪知恵が働くんだから。 絶対に結衣が翔太を死なせたんだわ。田舎から呼び寄せるんじゃなかった。 いいえ、そもそも彼女を産むべきじゃなかったのよ」 そんな悪意に満ちた呪いの言葉を聞いて、私の魂は突然ズキリと痛んだ。 パパ、ママ、あなたたちの心の中で、私はそんなに悪い子なの? あの時、私をおばあちゃんの家から引き取った時、おばあちゃんに「結衣を大切にする」と約束してくれたじゃない。 第2話 翔太の遺体をいつまでもそのままにしておくわけにはいかず、パパとママは彼を葬儀場へ見送ることにした。 パパは深いため息をつき、仕方なさそうに口を開いた。 「結衣も呼んでやろう。なんだかんだ言っても姉弟なんだ、彼女も翔太を見送るべきだ」 「結衣が翔太を見送る?冗談じゃないわ、あんな子にそんな資格なんてない!翔太の葬儀にあの子の居場所なんてどこにもないわ。とっとと消え失せればいいのよ!」 パパは激高するママをよそに、私の名前を何度も呼んだ。 パパ、ここにいるよって返事をしたかった。でも、声は出せず、私の身体はすっかり透き通っていた。 返事がないことでママはさらに怒りを爆発させ、テーブルの上の物を手当たり次第に床へなぎ払った。 「あのクソ娘、本当に血も涙もないんだから。私が前世でどんな大罪を犯したっていうのよ、あんな娘を産むなんて。 毎日あの三つ編みで着飾ることしか頭になくて、まだ七歳なのにあんなはしたない顔をして。一体誰に似たのかしらね。 自分の弟を死なせておいて、今度は最後のお別れにも顔を出さずにコソコソ隠れてるなんて。帰ってきたら、絶対に死ぬほど殴ってやるわ」 葬儀の間、パパとママは身を引き裂かれるように泣き崩れ、特にママは今にも気を失いそうなほど泣き叫んでいた。 「翔太、ママが一生懸命働いているのは、あなたが将来家を買うためのお金を貯めるためだったのよ。あなたがいなくなって、ママの人生にはもう何の希望もないわ……」 でも、翔太が死んでも、私がいるじゃない。ママにはまだ私がいるのに。私もママの娘なのに。 パパは傍らで痛ましそうにママを支えていた。その瞳からは、溢れんばかりの痛切な思いが滲み出している。 私も手を伸ばして、ママの涙を拭いてあげたかった。でも、私はもうとっくに死んでしまっている。 家に帰った後も、二人の口から私のことが出ることはなかった。 翌日になってようやく、パパが私をご飯に呼ぼうと声をかけた。 だが、その言葉が終わるか終わらないかのうちに、ママはまたヒステリックに叫び出した。 「あの子を呼んでどうするのよ。放っておいたって餓死なんてしないでしょ! ご飯を食べないのは、どうせ隠れて何か別のものを盗み食いしてるからよ。それに、もし餓死したとしても自業自得だわ。 翔太を殺しておいて、よくもまあ、のうのうと生きていられるわね!どの面下げて生きてるっていうのよ。本当に、あの世へ行って翔太の道連れになればいいのよ」 ママ、安心して。私はもう死んでいるし、翔太のそばに行ってあげられるよ。 ママ、実は私、ずっとわからなかった。どうしてそんなに私のことが嫌いなの? 翔太が寝ている時、私がトイレに立っただけで、ママは私に指を突きつけて怒鳴り散らした。 「この性悪娘が!わざとやってるんでしょ。翔太の安眠を邪魔する気ね!」 それ以来、私は水を飲むことすら恐れ、トイレも一日に一回しか行かなくなった。 翔太はやんちゃで、私を馬代わりにして背中に乗ってきた。彼はとても重くて、私には到底支えきれなかったけれど、それでも歯を食いしばって、彼を乗せたまま何周も何周も部屋を回った。 今回のアイスクリームだって、パパがママの留守中にこっそり私にくれたものだった。しかし、翔太はいつでも好きな時にアイスクリームを食べられた。 私はただ、どうしてもアイスクリームがどんな味なのかを知りたくて、彼に譲らなかっただけなんだ。 第3話 昔、おばあちゃんの家にいた頃は、私も幸せな子だった。 おばあちゃんは決して裕福ではなかったけれど、いつだって一番良いものを私に与えてくれた。 ママはお正月にしか帰ってこなかった。それでも、私が通知表を手にして褒めてもらおうと駆け寄ったとき、彼女は一瞥だにくれなかった。 「女の子がいくら勉強できたって、何の意味があるのよ。どうせそのうち他人の家に嫁ぐ身なんだから」 私が泣きじゃくりながらおばあちゃんのもとへ行くと、おばあちゃんは優しく私を抱きしめて慰めてくれた。 「ママの言うことなんて気にしなくていいんだよ。学問は必ず身を助ける。結衣ちゃんはこんなに賢いんだから、将来きっと立派な人間になるよ」 私は、このままおばあちゃんとずっと幸せに暮らしていけるものだとばかり思っていた。けれどある日、おばあちゃんは農作業中に誤って足を骨折してしまった。 私の面倒を見られなくなったおばあちゃんは、しばらくの間私を預かってほしいとパパとママに懇願した。 しかし、ママはそれを頑なに拒んだ。 「あんな卑しい子、顔を見ただけで吐き気がしてご飯も喉を通らないわよ!あの子の面倒を見るなんて絶対に真っ平ごめんよ、一日たりともね」 結局、おばあちゃんが自らの死を盾にしてまで必死に食い下がったことで、ようやく二人は私を田舎から引き取ることにしたのだ。 だが、私が何をしようとママの癇に障った。私が半袖とショートパンツを着ているだけで、ママは容赦なく罵声を浴びせてきた。 「子供のくせにそんなふしだらな格好をして、誰に色目を使う気よ!一日中足なんか出して、自分の足が白いとでも自慢したいわけ?」 ママの機嫌を損ねないよう、どんなにうだるような暑さの日でも、私は常に長袖長ズボンで過ごすようになった。 しかし、あまりの暑さに汗だくになると、ママはあからさまに嫌悪の表情を浮かべ、鼻をつまんだ。 「本当に臭いわね。さすが田舎者、お婆さんと同じで、薄汚ったらしくて反吐が出る」 私は一切口答えできず、ただ涙をこぼしながら、心の中でひっそりと反論した。そんなことない、おばあちゃんは誰よりも綺麗好きなんだから。 私は音を立てずにご飯を食べ、水を少しずつ飲み、用がないときは自分の部屋に閉じこもった。極力、ママの視界に入らないように息を潜めていた。 それでもあの日、ママは逆上した。 パパが「二つ結びが似合ってるな」と何気なく褒めただけで、ママはハサミを持ち出し、私の髪を根元からバッサリと切り落としてしまった。 私は泣きたかった。私は女の子だし、おばあちゃんも「女の子は可愛く髪を結ぶものだよ」と言っていたのに。 私の長く美しい髪は、おばあちゃんが何よりも気に入ってくれていたものだった。 でも、泣くことすら許されなかった。泣けばまた「疫病神」と罵られるからだ。 私はただ、夜中に布団の中で声を押し殺して泣くことしかできなかった。 事の発端となったあのアイスクリームでさえ、私を不憫に思ったパパが、ママの留守中にこっそり買ってきてくれたものだった。 しかし、 翔太はそれが気に入らず、手を伸ばして強引に奪い取ろうとした。 「ママが言ってたぞ、お前はウチの小間使いだって!お前がアイスクリームなんか食べるな、よこせよ!家にあるものは全部僕のなんだから!」 でも、私は安いアイスキャンディーしか食べたことがなく、あんなに高級なアイスクリームは一度も口にしたことがなかった。どうしても、それがどんな味なのか一口だけでも食べてみたかったのだ。 生まれて初めて、私は弟の言いなりにならなかった。 それが彼を逆上させ、翔太はなりふり構わず私の頭を力任せに殴りつけたのだ。 しかし、私が気を失って倒れた後、翔太が自ら冷凍車の荷室に入り込み、凍死するなんて夢にも思わなかった。 ママはもともと私のことが大嫌いだったし、私が翔太を死なせたと誤解している。だから、私を殴ったり罵ったりするのも理解できる。 けれど、あんな方法で私を罰しないでほしかった。本当に、本当に寒かったんだよ。 今、私も翔太と同じように凍え死んでしまった。 おばあちゃんは、まだ私の帰りを待っているというのに。 おばあちゃんのたった一つの願いは、私が名門大学に進学し、都会に出て一旗揚げることだった。 だからこそ、身を粉にして他人の畑仕事を手伝い、私の学費を必死に貯めてくれていたのだ。 私の学費のためでなければ、おばあちゃんが足を骨折することもなかった。 そう思うと、もう魂だけの存在になったはずなのに、心臓が握り潰されたように疼いた。 第4話 パパとママは、一心不乱に供え物の用意をしていた。 それでも、誰も私のことを思い出してはくれなかった。 その時、突然ドアを叩く音が響いた。近所の女の子が、私と遊ぼうと訪ねてきたのだ。 これなら、パパとママもようやく私がいないことに気づくはずだ。私はそう思った。 けれどママは、私が外で遊んでいると嘘をつき、彼女を追い返してしまった。 あろうことか、彼女が帰る間際、ママは私が一番気に入っていたウサギのヘアゴムを彼女にあげてしまった。 それは、おばあちゃんがくれた誕生日の贈り物で、私の何よりの宝物だった。私がどれほど大切にしているか、二人は知っていたはずなのに。 パパは眉をひそめて言った。 「それはまずいんじゃないか。結衣はそのヘアゴムをすごく気に入ってたぞ」 ママの口元に、不気味な笑みが浮かんだ。 「わざとやったのよ。翔太を死なせたんだから、それ相応の報いを受けなきゃ。こんなの、まだ序の口よ。あの子が帰ってきたら、タダじゃおかないんだから。泣いて謝ったって、叩きのめしてやるわ。 あのクソ娘、ずる賢いから、殴られるのが怖くてどこかに隠れてるのよ」 パパは結局のところ、私のことを気にかけてはいた。 夜になると、こっそり私のベッドに200円を置いていった。 私は空の上から、パパに向かって何度も「ありがとう」と繰り返した。 しかし、それ以来パパが私の部屋に来ることは二度となかった。あの200円に誰も手をつけていないことにも、全く気づかなかった。 ある日の昼下がり、突然おばあちゃんから電話がかかってきた。 おばあちゃんは、私に会いたい、声が聞きたいと言った。空の上でおばあちゃんの声を聞いて、私は本当に泣きたくなった。私も、おばあちゃんにすごく会いたいよ。 だがママは、電話越しのおばあちゃんに向かってひどい暴言を吐いた。 「この死にぞこない!全部あなたのせいよ。あなたがあんな卑しい小娘をここに送り込んできたから、私の息子が死んだのよ! あの子がどこに消えたかなんて、知らないわよ。どうせどこかの男の家にでも転がり込んだのよ。あの可哀想ぶったツラ、男好きするのにはおあつらえ向きなんだから」 私は空の上で必死に弁解した。ママ、違うよ、私はそんな子じゃない。 そんな風に言わないで。おばあちゃんが、私が本当に「悪い子」になっちゃったんだって勘違いしちゃう。おばあちゃんをがっかりさせたくないよ。 けれど私の涙ながらの訴えは誰にも届かない。私はただの一筋の魂なのだから。 夜、パパとママが翔太の遺品を整理していたその時、おばあちゃんが家を訪ねてきた。 足を引きずりながら歩くおばあちゃんの姿を見て、私は空の上で気が気ではなく、オロオロと飛び回った。 下に降りて、おばあちゃんを支えてあげたかった。 「私の可愛い結衣ちゃんはどこだい?あなたたち、あの子を放り出したのかい?」 「違うよ、お母さん。落ち着いてくれ、彼女はただ外に遊びに行ってるだけだ」 パパは後ろめたそうに誤魔化した。 一方、ママはふんぞり返って横柄な態度を取った。 「電話でも言ったでしょ。どうせどこかの男に養ってもらってるのよ。生まれた時から、あの子は男を誑かす泥棒猫だと思ってたわ……」 パァン。 ママの言葉が終わらないうちに、おばあちゃんは彼女の頬を力一杯張り飛ばした。 「綾音、私にどんな態度をとろうと我慢してきた。でもね、結衣ちゃんのことをそんな風に言うのだけは絶対に許さないよ! 結衣ちゃんはそんな子じゃない。あなたたちがちゃんと面倒を見ないって言うなら、今すぐ私が連れて帰るよ。 全く、なんて人間だい。あなたたちに親になる資格なんてないね!子供がいなくなっても探しもしないなんて。 健介、今すぐ結衣ちゃんを探し出してきなさい!さもなきゃ、二度と私をお母さんと呼ぶんじゃないよ!」 一生、荒い言葉一つ口にしたことのないおばあちゃんが、私のために剥き出しの怒りをぶつけた。 パパとママはおばあちゃんの凄まじい剣幕に気圧され、慌てて手にしていた物を置いて私を探しに出た。 しかし、辺りを何度探し回っても私の姿は見つからなかった。 やがて、パパの視線が泳ぎ、何かを思い出したかのように、あの冷凍車を食い入るように見つめた。 彼はママの腕を掴み、小刻みに震えながら言った。 「俺……結衣をあそこから出すのを、忘れてたんじゃないか?」 ママも一瞬で血の気が引き、その顔は蒼白へと変わった。 「嘘でしょ……あの子、あんなに悪賢いんだから、とっくに自分で這い出してきているはずよ。 待って……そういえば、あの日から一度も姿を見ていないわ。でも、それは自分のしでかしたことに後ろめたさを感じて、どこかに隠れているんだってばかり……」 二人は揃って、冷凍車へと早足で向かった。 だが、荷室の扉に手をかけた瞬間、二人は躊躇した。長い沈黙の後、パパが思い切って重い扉を勢いよく引き開けた。 目の前に広がっていた凄惨な光景に、二人は呆然とし、同時に悲鳴を上げた。

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