処刑寸前の第九皇子になっていた彼は通敵と叛国、十万の将兵を見殺しにした大罪を被せられて、もはや虫の息だった。だが処刑台で、彼は血書を一枚差し出す。それは弁明ではなく、帝国の女戦神を妻に迎えるための布石。被害者の祖母を動かし、朝廷の面前で婚姻を認めさせた瞬間、死ぬはずだった男の逆転劇が幕を開ける。
疑い深い暴君、奸臣、天下の逆賊。すべてを掌で転がしながら、武道の頂へと這い上がっていく。強気な妻も、やがてこの男の底知れぬ力に気づき始める。だが、彼を陥れた「十万の将兵」の真実が暴かれる時、帝国そのものが揺らぎ始める。この男の正体を知る者は、まだどこにもいない。